台風とは無関係にM3はとても行ける状況ではございませんでした。

いい感じに風邪が盛り上がってきてそれに比例するかのように雨風も勢いが増してきて時間ギリギリまでバイト先から「今日は来なくていいよ」コールを待ち侘びていたもののそんな電話が来るわけもなく。覚悟を決して半泣き状態で出立。この時点ではまだ甘く見てましたね。「かなり降ってるなぁ」程度だったので。

最寄り駅に着いた時点でもまだ「かなり激しい大雨」程度のもので電車が遅れているというアナウンスを耳にしては「ヌルいねJR」と鼻で笑ってたものです。

さて桜木町に到着し、いよいよ轟音らしきものが耳に入ってきてちょっとヤバいんじゃないかしらと思いつつお腹が空いたので最寄の松屋へ。呑気ですね。バイトまであまり時間が無いので物凄い勢いでかっ喰らい、よしじゃあバイト行きますかと松屋を出びょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉおぉおぉぉぉぉぉぉ

松屋は悪くない。松屋に罪はないんです。自分の判断をこれほど呪ったことはそうそうございませんことよ? 何でものの数分で状況がここまで変化しますか? 「さながら独りマリリンモンロォのようであつた」とは後々で回想したMetaphoneさんの弁ですが意味が不明ですね。気合で桜木町駅まで戻ったは良いものの、雨が地面と水平な方向で降っているのを目の当たりにした時は流石に何かを悟りましたね。冗談でそろっと駅から一歩足を踏み出してみたが最後、物凄い勢いでひ弱なMetaphoneさんは駅構内に押し戻される体たらく。ここで転んだりしては皆の笑いものになると、タップダンスのような動きでもって慌てて安全な場所へ避難。そこで待ち受けていた警備員のおっちゃんに笑われる。こちらもつられて笑ってしまう。和んでるんじゃねぇよ。こりゃもうダメだとバイト先に連絡を入れるも「す、すいません。駅には着いてるんですけど、ひょほっ(何かが飛んできた)、ちょっと動けるような状況じゃなひょほほほ(チラシがまるで何かの忍法のような勢いでバシバシ飛んできた)! すいません遅刻します」スカーン!(缶が物凄い勢いで飛んできたので慌ててよけて後ろの柱に激突した)

本当にねぇ、地獄でしたよ? しまいには駅はシャッターを閉め出す始末。駅から動く歩道までは100メートルも無い程度の距離。すぐそこに見えているのに行けないという状況が歯痒さに拍車をかけます。どうせ遅刻だし治まるまで待ってみようと決め込んだは良いが、これではいつまで経っても行ける気配が見えません。見ればサラリーマンのみならずおばちゃんまでもこの鬼暴風雨王にまるで求愛するかのような情熱と共に一歩を踏み出そうとしているではありませんか。ここで日和っては男が廃る。そう思ったMetaphoneさん、意を決して彼らに続く格好で鬼暴風雨王に対して求愛行動に打って出ます。

例えるならばInnocent WallsのムービーにおけるTaQさんのような動き、と申しましょうか。「ひょひょっ」「うほひゃっ」とか言いながら揺れてるんですね。こうして掛け声を独りで発して己を鼓舞しないと、とてもじゃないですけどやっていられませんでした。桜木町駅から動く歩道がこれほど遠いと思ったことはありませんよ。丁度半分を切ったくらいのタイミングで背広姿のおじさんが遅々とした歩調で同じような動きをしていたので「おじさん頑張って! ひょほ!」と恐らく聞こえていないであろうエールを贈った自分に国民栄誉賞。終盤はもう童心にかえって「だだだだだだ」とか言いながら屋根のある動く歩道へと駆け込んだのでした。今こうして思い返すと何か楽しそうだわ(藁 傘の骨が1本しか折れていなかったのはまさに奇跡でした。あと動く歩道をしゃがみながら延々と揺られるのが遊園地のアトラクションみたいで苦しゅうなかったです。

そしてバイトが終わってみると風邪はすっかり治っているという。無茶苦茶です。