ポリリズムだ!(笑)

連休初日の14日はわざわざ雨の中、御茶ノ水アテネ・フランセ(名前やどんな施設かは漠然と知ってて今回初めて行ったのですが、なかなか古いとこなんですね)まで菊地成孔によるポリリズム講義を聞きに行ってきました。トークショーに行ったことはあったんですけど東大講義とかにモグったことは無いので、レクチャーという意味ではこれが自分にとって初めての聴講経験ということになりますね。内容としては「ポリリズム」に関する公開講義で非常に面白く、不勉強な自分にしては珍しくわざわざちゃんとメモまで取ってきたので、復習の意味も兼ねてここで整理しようかとも思ったのですが……。

憂鬱と官能を教えた学校

憂鬱と官能を教えた学校

菊地さん本人も仰ってたのですが、↑の本の第10講で書かれている内容がほとんどなので割愛します(苦笑)。帰ってから復習がてらにこの本を開いてみたんですが、理論的な内容としては本当にしっかり本の中に書かれていました。何で本持ってて今まで気付かなかったのかと聞かれると、読むのを途中で挫折したからですスミマセン…。が、今回受講した内容を踏まえたからこそ読み返し易かったということもあり、今回のレクチャーは決して無駄では無かったなかなと。ただやはり実際に生で聞く授業ってのは臨場感という点でやっぱりとても面白いですね、話の脱線具合とか。ですので折角なのでメモ内容を頼りに↑の本と被らない範囲で、かつ講義の中で「おっ、もしろい」と思った部分を箇条書きレベルで書き残しておきます。

  • とにかく受講者の数が多過ぎ!ということで開始5分くらいは「ほらこっち詰めて」「真横まで来ていいから」と講師本人による人員整理が(笑)
  • 受講者の多さに辟易したのかていきなり質問タイム!
    • 「えーじゃ、はい、あの、mixiやってる人は挙手して(笑)」9割方が挙手してかなり怖かった…
    • 「じゃ次、あの、なんだっけ、はてな、やってる人(笑)」自分含めて片手で数える程度しかいなくて寂しかった…
    • 「それじゃ、あの、ブログ?やってる人(笑)」同じく片手レベル…ってもっといるじゃろ絶対!
    • 「じゃあはい、mixiやってる人、全員帰れ(笑)。だってmixiで見たらいいじゃん(笑)」これはひどい
  • 「黒板無いのかーやり辛いなー」というボヤきに応え、スタッフの方がわざわざホワイトボードを調達
    • 満員御礼の教室の中をじわじわ横切るホワイトボードはプロセッションって感じだね(笑)
  • 中世〜近代はモノという概念(モノリズム)が徹底された時代
    • 秩序の完成=抑圧
    • 元から存在する(例えば酒やドラッグや煙草で引き出されるような)無意識(カオス)をとにかく綺麗にまとめようとした
  • ポリリズムをモノリズムの対立項として捉えるのは(形としては間違ってないけど)よろしくない
  • モノフォニーはポリフォニーを内包している。つまり「全てが"ポリ"」
  • 日本語で「田野」と発音し、英語で「tunnel」と発音した時。ここに言語としての訛りが生じる(ポリフォニー
    • 因みに田野/tunnelネタはずっと前に梅宮辰夫がいいとも!で話してた(笑)
  • ポリリズムといっても大きく二つに分けられる
    • ティポグラフィカDCPRG(打ち消し線なのはもう活動終了したから(笑))でやったような「ポリリズミックなフィギュア」
    • 肥沃な大地としての「訛り」(汎用性が高い)
  • ポリリズムというのはまずこの凄く大きな「訛り」としてある、ということ
    • ポリリズムを小龍包に例えたらデートコースの活動なんててっぺんのにゅるっとした部分に過ぎないの(笑)
  • モノリズムなんて幻想に過ぎない、ということ
    • テクノミュージックが支持されたのは「打ち込みによる完璧にズレない音楽がモノリズムを実現する(という幻想)」ゆえだろうね
      • URとかは訛りまくってるんだけど(笑)
  • 例えはヒップホップにおいてはRUN DMC辺りまではかっちりとした訛りがあった
    • 日本だとTokyo No.1 Soulsetがやるような、かっちりとした訛りのラップね、秋田音頭みたいな(笑)
    • (ここで流してたJay-Zの新譜が妙にかっこよくてまたヒップホップ聞きたくなってきた)
  • 3連のリズムと4拍子が脳内で合わさってバグった段階で初めて「ポリ」になる
    • ♪「構造I」。これはキックは5拍子でベースが4拍子な5対4の関係。譜面に「書けない」(書こうと思えば書けるけどそういう話ではなく)
    • ♪「構造(いくつだっけ)」。これは4対11という極例。これらは1対1ポリ
    • 1対1ポリに対してn対n対n対…という皆がバラバラといういわゆるマルチポリをDCPRGで実現したのが「Catch 22」
  • ポリリズムを掴む能力の開発は「啓発」(って言うとちょっとアレだけど)に依存する部分が大きい
  • ファッションショーってのは、ウォーキングミュージックとそれを無視して歩くモデルという1対1の構図が見える場
    • ファッションショーは良いよ(笑)
  • ♪「アルト・サックス、ウッド・ベース、ドラムス、ハープによる無調クールジャズ風」
    • これは各パート同時じゃなくて別録りを編集で乗せただけ。別パートを無視して同時に演奏するのは至難の業
  • なぜなら人間にはシンクロしようとする力があるから
    • 他と合わせないようにしようとすると、努力が必要になる
  • なぜシンクロしようとするのかというと、「えっ、ズレていいの?」というモラルに抑止されてしまうから
  • ポリリズムを啓発によって体得することによって、そんなモノリズムからの解放を実現できる



ここまでが大体前半という感じで、すいません本当に重要な部分は多分含んでません(苦笑)。後半はワークショップ形式でひたすら理論的な話を突き詰めて行って良い所で終わってしまったのですが、そこは繰り返しになってしまいますが↑の本を参照ということで。ただ後半でも「レイハラカミやTortoiseなんかはほとんどの曲がアフロポリの形式に則ってるよね」とか面白い話はあったりしたのですがすいません自分がもう眠いんでここまでです。とりあえず今後は、「コンビニはいいよ(笑)」という話を信じて、コンビニで立ち読みでもしながら四つ打ちを頼りとした巷に氾濫するJ-popに耳を傾けて拍子をすくい上げる秘密特訓に精を出そうかと思います。しかしほんと面白かった。また機会があったらモグリででも受講してみたいものです。